[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
3つの恋のお題(京浜東北)
遅くなってしまいましたがついったでリク募集してたやつです。
診断メーカーのお題で京浜絡みでお題3つ。
左右固定してなかったので前回よりさらにひどいことになってます。
ジュニア、中央、武蔵野の順番で。
CPやリバなど大分緩くても大丈夫な方のみどうぞ。
苦情はリクしてくれた方以外受けつけません(苦笑)
診断メーカーのお題で京浜絡みでお題3つ。
左右固定してなかったので前回よりさらにひどいことになってます。
ジュニア、中央、武蔵野の順番で。
CPやリバなど大分緩くても大丈夫な方のみどうぞ。
苦情はリクしてくれた方以外受けつけません(苦笑)
≫東海道 / 抱きしめてもいいかな
酔っているのだと思った。人を訪ねるには遅い時間、無遠慮に鳴らされたチャイムに眠い眼を擦りドアを開ければ、やたらと上機嫌な恋人がそこにいた。入れて、と可愛らしく小首を傾げて見せる。それほど酒に弱いわけではないのは知っている、が、紅潮した頬と普段では考えられないような笑顔の大盤振る舞いは酒のせいで無ければ何なのだろうと思う。とりあえず部屋に入れて、水の一杯でも飲めば目が覚めるだろうかとカップを取り出そうとすると、ピタリと寄り添うように背に立ち、指先でついと背筋をなぞる。ねぇ、と甘ったるく耳元で囁く声に、誘ってるのかと困ったように振り向くと、その唇が紡いだ言葉は予想の斜め上で。
「抱きたい」
「…は?」
「君を、抱きたい」
ダメ?と相変わらず可愛らしく、否、可愛くないのだろうけれど、可愛い振りをして小首を傾げる。咄嗟に、ダメだ、と口にすると、どうしても?と少し残念そうな顔をする。やめてくれ、頼むから。惚れたが負けとはよく言ったもので、うっかり許してしまいそうになる自分が憎い。
「じゃあ、抱きしめるだけ」
「…それだけ、なら」
抱きしめられるよりは抱きしめたいと思うのだけれど、後ろから腕を回されてしまえばどうしようもなく。肩に押し付ける様に埋められた頭を軽く撫でると、くぐもった声で名を呼ばれる。擦るように押し付けられる腰の辺りに、何か固いものが当たっている気がするがそれについては考えないことにする。
「東海道」
「ん。水飲んで寝ろ」
「抱きたい。ねぇ」
どうしてもダメ?と呟く声に、どうしても、と返すとどこか拗ねたように、意地悪、と返ってきた。明日の朝、できれば自分の言ったことを忘れていて欲しいと思いながらベッドに放り投げる。痛いとか酷いとかいう言葉をとりあえず聞こえないフリをして、口に含んだ水を合わせた唇から流し込むと少しだけ大人しくなった。寝ろ、ともう一度言うが、ふとその違和感に視線をぶつけたまま固まった。
「ねぇ、抱きしめてもいいかな」
「…お前、酔ってるんじゃねぇのかよ」
「君が勝手に勘違いしただけだろ」
酒の味どころか匂いもしない。眼鏡の奥で獰猛に笑った瞳が、背筋を冷たくするのには十分過ぎるほど雄の色をしていて。掴まれた腕に抵抗する間もなくベッドに引き倒されて体勢が反転する。押し倒される形になって見下ろす表情は、それはもう。
「ごめんね、やっぱり抱きしめるだけじゃ、足りなかった」
狡いくらいに綺麗に笑っていたので、色々とどうでも良くなってしまった。
≫中央 / しらじらと明けていく夜
ブラッディキングなんて有り難くもない称号を譲り受けて今日、どうしてか前代キングが自身のベッドを占領している。人に作られた存在である自分たちが、それをどう人に使われようと文句を言うこともできない。希望だったはずだ。自分たちは望まれて走り始めたはずだ。多くの夢と希望を乗せて、多くの努力と命を下敷きにして走ってきた。できることなら最初から最後まで、望まれる存在でありたいと思うのに、それこそが存在意義だというのに、べったりと纏わりつくような臭いが消えない夜は、居たたまれなくて居場所を探す。
「堪ったものじゃないよね」
「まったくだよ。溜めこんだらやってられない」
「字が違う気がする」
「知ってる」
どうにもならない。どんなに対策をしたところで、踏み越えたいと思う人の気持ちにまで対策はできない。数え切れない、数えたくもない今まで奪ってきたものの重さに潰れそうになって、その重さを分けて与えるには愛しい人は大切過ぎて。軽くなるわけではないけれど、その重さを分かち合えるのは結局同類。
「正直、こういう日に人肌恋しくなるっていまだに理解できない」
「だよね。何でだろう」
他人事のように言って伸ばす手に手を重ねて、唇が触れる。
「変な臭い、しない?」
「石鹸の匂いがする」
「そう、よかった」
鉄錆の味も、肉脂の臭いもしない。それを確かめるように、泣くわけでも無く淡々と作業のように触れてなぞる。言葉も無く、愛も無く、行き場の無い想いを吐き出してしまうために。堪らない、溜められない。どろりと吐き出したのは見慣れた赤などでは無いことに安心して息を吐く。束の間の解放感と、這い上がる倦怠感と、背中に張り付いたままの罪悪感。
「寝る?」
「うーん…もう一回」
「はいはい」
まるで甘やかすように甘やかされるように、溺れることも無いままに肌を重ねて。眠りに落ちることを恐れながら過ごした夜は、気付けば白々と明けていた。
≫武蔵野 / 二人でいこうね
デートをしたいと言った武蔵野に、普段と何ら変わることのない視線を向けた京浜東北は、深く溜息をついた。そんなにぐったりするほどのことを言ったつもりは無いのだけれど。そもそも武蔵野にしては非常に気合を入れて口にした言葉だ。男同士でデートだなんて、むず痒くなるか下手をすれば気持ち悪いと言われても仕方のないような言葉だ。他に幾らでも言い様があったものを、あえてデートと言ったのは、ほんの少しの意思表示。
「溜息吐くなよ」
「あぁ、ごめん。つい」
「…溜息吐かれるこっちの気持ちも少しくらい考えろよな」
そうだ、もう少しくらい。考えてくれたっていいじゃないか。好きだといえば勘違いだと言われ、キスをすればガキと言われ、抱きたいと言ったら殴られた。何故好きなのかと問われたって上手く言い表せないけれど、ここが好きだそこが好きだと一つ一つ挙げていくことならいくらでもできるわけで。口にすれば殴られるだけで済まないのはわかっているのでしないのだが。
「大体デートなんて、どこへ行くつもりなの」
「決めてねぇけど…だってこう、もうちっとくらいさぁ」
色っぽくてもいいじゃねぇの、とその肩に寄りかかるように額を押しつける。年季の入り方が到底違う相手に、男らしくいようなんて今更無理な話で、結局こんな風に甘えるくらいしかできなくて。仕方が無いなと言って笑ってくれたあの時のように、キスをしてくれたときのように、触れさせてくれたときのように。甘い恋人のように抱かれてくれている、その瞬間のように。もう少しくらい。
「そうだな…君一人で計画立てて、絶対に僕を退屈させないって約束してくれるなら考えるよ」
「マジで!」
「まじだよ。どうする?」
視線を向けるわけでもなく、手元の書類に視線を落したままだが、その声は笑っている。気のせいではない、多分。
「が、頑張って計画するから!」
「じゃあ計画が決まったら教えてね。シフト合わせないと」
2度3度瞬きをして眼鏡を外す。指先で、きゅ、と摘まむように目頭を押さえるのは疲れ目と、休憩のサインであると覚えた。抱きついてもいいだろうかと腕を伸ばすと、当たり前のように手を握られ、ぎょっとしているとそのまま唇を押しつけられる。驚いた表情のまま固まっていると、ふ、とその口元が笑った。
「キスするときに邪魔だからね、眼鏡」
「…そ、だけど」
「楽しみにしてるから」
二人でいこうね、と珍しく悪戯っぽい言い方をして書類を置くと当たり前のように席を立ってしまう。一人残されて、へたり込んでしまわなかったのは薄っぺらくとも武蔵野の持つプライドとやらが総動員した結果だ。狡い、反則だ。そんな文句を胸中でだけ並べて、じわりと首筋から這い上がる熱に思わず顔を覆った。
PR
COMMENT