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明日はお休み(CPごった煮)

ついったでぽろっと零してた誘い受け云々のSSS連作。
連作と言いながら繋がってないけど。
有武、副西池、じゅにけ、高上、上官本線の順番で。
テーマは誘い受けというか積極的な受け子です。
色々アレレな感じですがうちは大体こんな感じですよ。


***



≫有楽町と武蔵野の場合

珍しく揃って休みが取れた。だから今夜は少しくらい無理をしてもいいと、明日は二人でのんびりしようと有楽町の部屋に上がり込んで、二人で酒を煽っている。煽っている、というほど雑な飲み方でもないが、美味い酒をしっとりと、という上品なものでないのは確かだ。

「ゆーらくちょー、もう一本!」
「はいはい…ってお前、ちょっと飲みすぎじゃないか?いくら明日休みだって言ったってなぁ…」

ぶつぶつと文句を言いながらもビールの缶を渡す有楽町は、結局のところ武蔵野に甘い。明日は揃って休みなのだし別に酔い潰れたって構わない、とは思うのだが。これでも恋人同士なのだ、もう少しこう…と思うところが無いではない。それでも下手なことをして機嫌を損ねるよりは、気分良く飲んで笑っていて欲しいと思ってしまうのだから仕方ない。

「だぁってよぉ」

間延びした声で唇を尖らせる表情は、不貞腐れている時にするものだ。機嫌を損ねるよりはと渡したはずのビールの缶の何が悪かったのかと有楽町は内心で焦ったりするのだが、返ってきた答えは予想の斜め上で。

「せっかく明日俺もお前も休みなんだぜ?」
「だから二人で飲んでるんだろ?」
「そーだよ。けどよぉ…一応、その、付き合ってる相手が夜遅くに自分の部屋にいるんだぜ?いつんなったら襲ってくれんのかなー、とかちょっと思ったりしたんだけどなー?」

その目元が赤いのは、どうやら酔いのせいだけではない、らしい。

「ま、別にそういうの、無くてもいいんだけどな」
「いや、その」
「俺は、その気で来たんだけど。お前は違うの?」

酔いで据わった目が有楽町の顔をぼんやりと眺める。ぼんやりとしているように見えるが、武蔵野がそこまで酒に弱くないことも知っている。慎重になり過ぎるのもダメだな、と有楽町は内心で溜息をついて、武蔵野の頭を撫でた。

「違わない」
「…そか」
「自分から誘ったからには、それなりのつもりなんだよな?武蔵野」

髪に指を差し入れて、頬に口づけると擽ったそうに目が細められる。少しの間をおいて、控えめに返された応の声に小さく笑う。そのままソファに押し倒せば、このまま?、と少し困惑したような表情。それが何を指しているのか、選択肢はきっと幾つもあったのだろうけど、聞こえないふりをする。

自らまな板に飛び乗った鯉なのだから、鮮度のいいうちに頂かなければその心意気に申し訳ないだろう?





≫副都心と西武池袋の場合

駅近くの系列のホテル。掴まれた手首は振り払おうと思えば簡単にそうできるほどの力で、そんなことを、そんな勿体ない事をするはずが無いのだけれど、こんな接し方をされたのが初めてで副都心はただただ思案する。何か気に障ることをしてしまっただろうかと。

「西武さん、西武池袋さん」
「煩い、黙っていろ」

鮮やかな青い制服がずんずんと急ぎ足で前を行く。言われるままに連れ込まれたのはスイートルームで、ぐんと強く引かれたその一瞬だけ間違いなく痛みを感じるほど強く握られた。

「…った…あの…僕、何かしましたか?」

ベッドの上に放り投げられ、困惑していると表情に書いて、できるだけそう見えるような表情を作って金色の瞳を見上げる。思いつく限りで今日は彼に迷惑をかけていないはずだ。副都心線も、有楽町線も終日予定通りの運行で、それ以外の路線も目立った問題は起きていないように思う。

「別に、貴様は何もしていない」
「でしたら何のご用でしょう?」
「…抱かせてやる」

ぷつぷつと青い制服のボタンを外しながら、西武池袋の唇はゆっくりと弧を描いた。頭上にはてなを浮かべた副都心の目の前で、西武に対する忠誠ととれるその制服をぞんざいに投げ捨てると、ブラウンのネクタイを掴みあげ乱暴に唇を合わせる。目の前で何が起きているのかわからないまま、滑り込んでくる舌の感覚に反射の様に応え、細い腰を支えるように腕を回す。離れた唇から急激に流れ込んでくる酸素に噎せていると、西武池袋は副都心の膝の上で喉を鳴らして笑った。

「私が、そういう気分だというだけだ。そういう気分の時に、たまたまお前がそこにいた。理由はそれだけだ。問題があるか?」

その笑顔はいっそ凶悪で。

「光栄ですよ、抱かせていただけるなんて」
「ふん、ありがたく思え」
「えぇ、たまたま僕がそこにいたという幸運を」

言って今度はこちらからキスを仕掛ける。貴様のキスは幼稚すぎる、と肺の中の空気をすべて持っていかれるような獰猛さに、やはりこの人は猫ではなくライオンなのだろうと妙な感心をしてしまった。





≫ジュニアと京浜東北の場合

京浜東北が残業無しで上がるのは珍しい。だから偶にはいいんじゃないかと二人で外で食事をとって、気分がよくなる程度に酒に酔った頭でそのまま部屋に連れ込んだ。京浜東北も自分と同じくらい飲んでいるわけで、軽い酩酊感は覚えているだろうに、取り立てて態度が変わるわけでもなく事務的なというほど硬くは無いが、それでも期待するほど甘くはならない。

「お茶淹れるね」
「おぅ」

何度となく行き来しているのだからそれも当然と言えるのかもしれないが、当たり前の様にケトルに水を入れ二人分のカップを用意する様は、うちの嫁ですと紹介しても不都合無さそうな手際のよさである。これで料理はからっきしできないのだから面白い。

「シャワー浴びるか?」
「ん…お茶飲んでからにしようかな」

シャワーを浴びるなら、泊るつもりなのだろう。相変わらず淡白でニュートラルで。タイミングを計りかねるのはいつものことだ。手招きすれば、普段と変わらないトーンで何と問い返しながら素直に腰を下ろす。どうかな、と少し不安になりながらもエアフレームの眼鏡をそっと外すと、案外抵抗もなく。押し付けるように唇を重ねると、その手が緩く制服の裾を握った。

「先に浴びてくる?シャワー」
「…は?」
「だから、君が先に。僕はお茶飲んでからにする」
「お前…」

今のはそのまま押し倒す流れだっただろ、と言いはしないがどうやら表情に出ていたらしい。軽い溜息を吐くと、鼻の頭を齧るように京浜東北の唇が触れた。

「するんでしょ?最初からそのつもりだけど」
「っ…だったら」
「汗かいてるし。好きな人に綺麗な状態で抱かれたいっていうのは、ダメかな?」

薄く笑んだ表情に言葉は喉で行き詰まり。代わりに溜息。ダメじゃない、と呟くように落とすと、くすりと小さく笑う声。

「先にシャワー浴びておいでよ。その後は、幾らでも君の好きなようにして」

言われなくたってそうしてやりますとも、畜生め!そんな心の声をどうにか飲み下して、どうやって鳴かせてやろうかと思案しながらバスルームの扉を閉めた。





≫高崎と上越の場合

おいでと言われれば自分に拒否権は無くその背について行くしかないわけで。上がってと言われて部屋に上がり、脱いでと言われて仕方無しに上着を脱ぐ。脱がしてと言われて手を差し出され、恐る恐る白い手袋を外すと、全部だよ、と柔らかくも極く強制力のある声音で言われる。

「あ、の…上官」
「ん?なぁに?」
「何で、自分にこんなことを、させるんです、か」

途切れ途切れになった言葉はひとえに上官に対する畏怖であり畏敬であり。それ以外の諸々が含まれているのを高崎自身も、当然のように上越も知っている。夏になれば暑いと言って同僚から苦言を呈されるほどに制服を着崩す上越の、その白く滑らかな肌に、暑さで紅潮した頬に、滴る汗に。高崎がどんな意味を込めてそれを見ているのか、知っていながら上越は笑うのだ。

「だって高崎、すごぉく物欲しそうな顔で僕のこと見るんだもん」
「っ…それ、は、その。失礼、しましたっ…!」
「ふふ、否定しないんだね」

物欲しそうな顔。それはある種上越の願望ともいえるもので、高崎がそんなことは無いと否定してしまえばこの戯れ事は終わる。けれど。

「否定は、しません」
「へぇ?」
「俺は…その、上越上官の、こと」

ベッドに腰掛けた上越の前で床に膝をつき項垂れてしまった高崎に上越は笑いかけてその手をとる。

「欲しいんでしょ?したいんでしょ?いいよ、君がそう言ってくれたら、あげちゃう」
「あ、お、俺は」
「言ってよ」

掴んだ手を引かれ、指先は制服の首元。脱がせと笑う上越に高崎の思考はショートした。

「上越上官が、欲しい、です」
「よくできました」

緊張で震える手でそろそろと制服を脱がしながら、その下にある白い肌の甘さを想像して腰の重くなるのを感じる。まるで犬のようだと思いながら、そうやってあやされるのが心地いいのだと高崎にしては珍しく、自嘲のように思った。





≫東北と宇都宮の場合

報告書を提出にきた宇都宮を捕まえ、奢ってやると連れ出した。言っても自分は酒が飲めない。酒が飲めなければ肴の美味さも半減ですよ、と苦笑交じりで言うそれに若干の腹立たしさは覚えたものの、居酒屋のメニューというのは酒を飲むことを前提に作られているのだからきっとそうなのだろう。とはいえ、東北が下戸であることなど今更な事実であり、宇都宮も無理に飲ませようとはしない。飲める人間がいくら美味いと言ったところで、アルコールに耐性のない人間にはそれだけで毒なのだ。

「休んでいくか?」
「上官の部屋で、ということですか」
「あぁ」
「では、お邪魔します」

にこりと笑った表情はいつものそれで、一在来が上官の宿舎へ寝泊りすることの問題もまるで無いかのように。情人というにも少し甘さの足りない彼が、けれど何度か訪れたことのある部屋で、当然のように東北の上着を取り上げハンガーにかける。慣れたものだと眺めていれば、これくらいは慣れていなくてもできますよと、聞こえていたかのように答えられる。

「茶でも飲むか」
「…それは、意地悪で言ってらっしゃるので?」
「何がだ」

意地悪、と言った言葉は妙に可愛らしく、宇都宮に似合わないと思った。そもそもそんな意図は全くなく、単純に酔い覚ましに茶でもいっぱい、のつもりだったのだが。

「食事に誘われて、部屋に誘われて。僕が明日休みなのを知ってそうしているくせに、随分と嫌らしい」
「…知っていたのか」
「京浜東北が告げ口してくれましたので」

確かに尋ねた。宇都宮の次の休みはいつになるのかと。承認印を押しているのは東北だが、実質管理をしているのが京浜東北だからだ。それをそのまま本人に伝えるとは思っていなかったが。

「しないんですか?」
「随分ストレートだな」
「ただ抱き枕になりにきたわけではありませんので。その気は無いとあなたに言われてしまうと、多少なりとその気でいた僕はそれなりに落ち込みます」
「そうか」

落ち込む必要などない、とだらりと落とされた手を掴むと、ふ、と零れる様な笑みを作る。流れるようにというよりは滑るようにベッドに片足を乗せ、何かを強請るような啄ばむだけの接吻け。そんなに可愛らしく誘ってくれるな、とその肢体をシーツに埋める。誘ったことを後悔させるほど溺れさせることができればいいと、不穏な想いを腹の底に沈め吸い寄せられるようにその首元に噛みついた。






番外編?
≫大宮カルテットな感じで

「高崎はねぇ、なかなか上手にならないんだよ。そこが可愛いんだけど」
「上手でない相手に抱かれるのは苦労されるでしょう?それともそういう方がお好きなんですか?」
「調教していく喜びっていうのがあるじゃない。元々待てだけは覚えてたんだけどね、誰かのおかげで」
「それは喜ばしいことで」
「少しずつ上手になってきてるんだよ。どこで覚えたんだか、たまには男らしいことも言ってくれちゃったりして」
「楽しそうでなによりですよ」
「東北は上手なの?上手くても下手でもすごく自己中なセックスしそうだよねぇ」
「そういうのは東北上官に直接聞かれるのがよろしいのでは?」
「される側に聞かないとわからないじゃない、そんなの」
「だからといって僕が答えなければならない理由にはならないと思いますが」
「答えられないほど感じさせられちゃってるとか?」
「どうでしょうね。ただ僕は下手な相手に抱かれ続けるほどマゾではありませんので」
「へぇ。君としてはそれで満足してるんだねぇ?」
「満足するというのとは違うと思いますが」
「不満もあるってことだね」
「あったとしてもあなたにそれを伝える意味はありませんよ」
「代わりに言っといてあげるよ」
「相変わらず同僚に対する嫌がらせには余念がありませんね」
「君ほどじゃないよ」
「恐れ入ります」
「もういっそ君が東北を抱いたらいいんじゃないの?」
「随分面白い冗談を」
「僕は高崎なら抱けるなぁ」
「やめてください。それこそ高崎が使い物にならなくなったらどうするんです」
「なにそれどういうこと。僕が下手だとか言いたいの」
「いいえ。ただあなたは下手な相手に抱かれるのがお好きなようですから、同じことを高崎にするのではと危惧したまでですよ」
「失礼にもほどがあるんじゃない?大体僕は下手なのが好きなんて言ってないし」
「では痛いのがお好きなので?」
「勝手に人の性癖決めないでくれる?君こそ不満のある相手に大人しく抱かれてるなんて、抱く方にはよほど自信が無いのかな」
「言ってくれますね。あなた方より長く走っている分、経験値はそれなりに積んでるんですよ」
「レベルアップするかどうかは別の話でしょ?」
「試してみますか?」
「いいんじゃない?」

「おい…上越」「宇都宮!」

「「煩いな、ちょっと黙ってて」」





***



受け子が積極的な話がね、大好きでして。
誘い受け襲い受け女王様受け…くっそ萌ゆる!
もっと色っぽく書けたらいいのに!

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